医師とのコミュニケーション | 患者の視点で考えるアトピー性皮膚炎 | アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

7. 医師とのコミュニケーション|患者の視点で考えるアトピー性皮膚炎

慢性疾患であるアトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返しますので、長期間にわたり受診する必要があり、医師とのコミュニケーションが治療効果にも影響を及ぼします。しかしお互いの考えが理解できずに治療に支障が出ている場合もあります。正しい受診の仕方を含め、医師とどのようにコミュニケーションをとっていったらよいのかを考えてみましょう。

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1.医者と患者の思い

医 師 患 者
(1)治療目標

日常生活に支障がない程度寛解

ずっと付き合っていくしかない。

体質改善し、一日も早く皮疹の出ない状態になりたい。

(2)治療

ステロイド外用薬を処方しても患者は塗らない。

ステロイド外用薬は怖いのでできれば塗りたくない。

このように医師と患者で治療目標や治療方針に相違がある場合、お互いに不満を持ったままだと納得のいく治療ができていない場合があります。そこでお互いに話し合い、理解をしていくために次のような話し合いをしていくのはいかがでしょうか。

(1)治療目標

医師から

アトピー性皮膚炎は遺伝子の異常によるバリア機能不全によるものなので、体質自体を変えることはできませんが、良い状態を保つことによって、日常生活に支障がない程度に改善することができます。皮疹が出てくることもありますが、その都度治療していけばそんなに悪化することなく保つことができます。

患者から

体質から変えることはできないのですね。でも今のように全身がひどい状態が続くと気持ちも落ち込みますし、仕事もできなくなってしまうので、日常生活に支障がない程度にまずはなりたいです。ずっと付き合っていくと思うとつらいですが、今よりよくなれば良いかなと思います。

医師から

ではまずは今のひどい炎症を抑えて、仕事にいけることを目標に治療していきましょう。

(2)治療

医師から

ステロイド外用薬は50年以上の使用実績があり、作用も副作用も分かっている安全な薬です。外用薬で副作用が出ることはまずありませんが、診察の都度チェックもしますので、今の皮疹を良くするために、処方した薬を朝晩2回きちんと塗ってください。

患者から

診察のときに皮膚をチェックしていただければ、副作用の心配もないのですね。どんな副作用が起きるか不安だったのですが、先生に診ていただければ安心です。今の状態はつらいので、まずは先生のいうとおりにやってみようと思います。どこに何をぬればよいのか教えて下さい。

医師から

では今日処方する薬の塗り方を説明しますね。良くなったら薬の量も減らせますので、最初はベタベタするかも知れませんがたっぷりと塗ってみて下さい。これで良くなったらその状態を保つために保湿剤に変えることもできますのでがんばって治療していきましょう。

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2.良い診察の受け方

(1)良い医師とは

当会へ「よいお医者さんを紹介してください」というお電話がよくありますが、「良い医師」というのは皆さんそれぞれ違うのです。テレビや雑誌に出ていた有名な先生にかかれば治るというものでもありません。慢性疾患であるアトピー性皮膚炎の主治医はご自身が質問しやすく、それに対して納得できる回答があり、信頼関係を構築して治療していける主治医が一番です。どのような先生なのか、どのような治療をするのかはかかってみないとわかりません。まずはご自身が通院しやすい、皮膚科専門医のいる病院やクリニックに行って診察を受けてみて相性が合うか、納得のできる治療をしてもらえるかなどを確認してください。

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(2)診察を受けるときのポイント

アトピー性皮膚炎の診察では、患部を見せることが大切です。皮疹の状態を医師が確認することによって重症度を判断し、適切な外用薬を処方することができるからです。またステロイド外用薬の副作用も皮膚に出るものがほとんどなので、医師に副作用の確認をしてもらうことで安心して使うことができます。
また、次のことに留意し、医師とのコミュニケーションをよくして、納得のできる治療を受けましょう。

  • 処方された薬の塗る場所・塗る期間・塗る回数を説明されない場合は患者から聞く。
  • ときどきは医師に実際に塗ってもらい、塗る量や塗り方を確認する。
  • 診察室に入ったら、きちんと声に出して挨拶する。終わったらお礼を言う。
  • 医師はいつも忙しいことを頭に入れて、脱げる衣服は診察前に脱いでおくなど効率よく診察を受ける。
  • 初診には時間をとる医師は多いが、再診では短時間の診察で同じ薬になってしまうことが多いので、見て欲しい箇所や薬を変えて欲しいときは積極的に話す。
  • 必要な薬は、あらかじめメモにして渡すと診察の時間短縮になり、聞きたいことのための時間がとれる。
  • 毎回、全身を見せるのは好ましいが、難しい場合は、一番悪いところは最低限見せて診断してもらう。
  • 「今日はここ1点!」という所を絞って、困ったことのみをしっかり聞く。時間があれば2~3点をメモにした中から選んで聞く。
  • 外用薬の治療を続けていても良くならない場合は、入院治療や免疫抑制剤の内服の使用など、新しい治療法を自分にできるものか患者からも聞いてみることも必要。
  • 医師になかなか聞けない場合は、看護師や薬剤師にも積極的に聞く。また、薬剤師さんにこういわれたけどどうかと医師に確認する際に他の人を出すと聞きやすい。
  • 機嫌を損ねないように気を使って通院するより、専門医はたくさんいるので、自分の納得する説明、適切な治療をしてくれる医師を探すこともよい。

3.かゆみ日誌

医師の前に出ると緊張してしまい、今までの経過や聞きたいことが話せなくなってしまうという方は「かゆみ日誌」を書いて、そのまま医師にみせると効果的です。症状の変化や「顔がひどくて外へ出るのがつらい」などのそのときの気持ちも書いて見せると医師にわかってもらいやすいです。

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