Journal Club

Short-term exposure to dioxin impairs bone tissue in male rats.

Chemosphere. 2009 May;75(5):680-4. Epub 2009 Jan 18.

ラットでの慢性及び半慢性研究にて、以前よりダイオキシン様混合物が骨組織の恒常性を害することが示されている。今回、ラットに短期間ダイオキシンを暴露させ、起こりうる影響を検討するため脛骨と血清を調べた。2ヵ月の雄のラット(約200g)に50μg /Kgの2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)を注射し、暴露5日後に脛骨を切除した。骨組織、大きさ、長さや能力を末梢骨定量的 CT(pQCT)脛骨の3点曲げ試験で分析した。さらに詳細な骨組織を発光分光分析(ICP-OES)やフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて分析した。血清骨マーカーprocollagen type-I N-terminal propeptide (PINP) とcarboxyterminal cross linking teleopeptide (CTX)の解析も行った。

pQCTの結果により、TCDDに暴露させたラットで海面骨横断面積の著明な減少(-19%,P<0.05)と総骨密度の著明な上昇(+7%,P<0.05)といった骨幹端に変化があることが示された。ICP-OESやFTIRでの骨解析では、暴露されたラットの骨は高いcrystalline phosphate(a1080では+13%、a1113では+11%,P<0.05)の相対比率と低いacid phosphate (a1145では-22%,P<0.05)の含有を示し、より成熟した骨に類似した構造であった。血清検査では、骨組織の純損失を示す、骨形成マーカーPINPの減少と骨吸収マーカーCTXの増加が明らかにされた。TCDD暴露5日後には、雄のラットで骨組織に負の効果を示しうるとの結論が出た。



2009年4月29日 吉岡 寿麻子




閉じる