Journal Club

Oxidative stress induced by UVA photoactivation of the tryptophan UVB photoproduct 6-formylindolo [3,2-b] carbazole (FICZ) inhibits nucleotide excision repair in human cells.

Brem R, et al. Sci Rep, 27 June 2017. DOI:10.1038/s41598-017-04614-8

要約
中波長紫外線UVB(280-320 nm)により誘発されるDNA突然変異は、皮膚がんの危険因子である。一方、長波長紫外線UVA(320-400 nm)の発がん性はあまり知られておらず、クロモフォアとの相互作用によるものと考えられている。

Aryl hydrocarbon receptor(AHR)のアゴニストである6-formylindolo[3,2-b]carbazole(FICZ)は、トリプトファンのUVB代謝産物である上に、強力なUVAクロモフォアである。FICZは、UVA照射に伴いROSの産生を誘導しDNA損傷を引き起こす。


この研究において筆者らは、ヒト表皮細胞を不死化したHaCaT細胞を用いて、添加したFICZにUVA照射を加え、DNA修復が阻害されるかどうかを検証した。その結果、FICZにUVA照射を加えると、皮膚がんを防止する最も重要なDNA修復システムであるNucleotide excision repair(NER)システムが阻害されることが明らかになった。この機序として、DNA損傷の増加と損傷したDNAの除去率の低下という2つの独立した作用があると考えられており、これらの作用が協調して皮膚がんのリスクを増加させる可能性が示唆された。

以上より、FICZはNERシステムを阻害する内因性のUVAクロモフォアであることが確認され、UV誘発性の皮膚がんの発症機序の一因であることが示唆された。




村井 美華 2018/3/6


閉じる