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Evodiamine as a novel antagonist of aryl hydrocarbon receptor

Biochemical and Biophysical Research Communications 402(2010)94-98

【要旨】
エボジアミン(Evodiamine)は漢方薬の呉茱萸(ゴシュユ、Wu-Chu-Yu)から抽出される生物活性アルカロイドである。様々な蛋白に作用し、それらの発現や活性化を変化させることが今までに示されている。
著者らは、エボジアミンとaryl hydrocarbon receptor (AhR)との相互作用を検証した。
(コンピューターを使った)分子計算手法で、エボジアミンが2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (TCDD)やpinocembrinと同様に、AhRと相互作用することを示した。次にラットを用いたサイトゾル受容体結合試験で、エボジアミンのKi値(阻害定数)が28.4±4.9nMであることを示し、TCDDと同様にAhRと結合能力があることを示した。またヒト細胞で、免疫組織学的ならびに遺伝子発現・蛋白発現解析手法を用い、TCDDにより引き起こされるAhRの核への移行とCYP1A1の発現を、エボジアミンが用量依存的に抑制することを示した。
これらの結果は、エボジアミンがAhRにリガンドとして直接結合し、拮抗作用を示すということを示唆している。

呉茱萸: 中国原産の落葉小高木ミカン科ゴシュユの果実
アルカロイド: 窒素原子を含み、塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称
2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (TCDD): ダイオキシン類の一つで、AhRの作用物質
Pinocembrin(ピノセンブリン): プロポリス等に含まれ、AhRと結合することが示されている


安川 史子 2011/2/1

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