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In Vivo Dioxin Favors Interleukin-22 Production by Human CD4+ T Cells in an Aryl Hydrocarbon Receptor (AhR)-Dependent Manner.

PLoS One. 2011 Apr 15;6(4):e18741.

背景:転写因子であるaryl hydrocarbon receptor (AhR)は環境中に存在するダイオキシン類の生体への影響を調節する。しかしながら、これらの物質に生体が暴露された場合に、獲得免疫に対してどのような影響を来すのかはほとんど分かっていない。著者らは、非常に高濃度なTCDD (2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin)に暴露され、皮膚または全身症状を発症した症例よりT細胞を回収してその検討を行った。

方法:主な発見:TCDDに暴露された症例のT細胞に刺激を加え、サイトカイン産生及びケモカイン受容体の発現について検討した。CD4陽性T細胞において、培養液中のサイトカインは、コントロール群(健常人)に較べると、IL-22の産生の増加は認められたが、IL-17A、IFN-γ、IL-10の産生については差が認められなかった。TCDDの添加によるIL-22の産生の増加は、AhRに依存性であった。この産生の増加は、IL-22産生細胞の増加によるもので、skin-homingに関連するケモカイン受容体であるCCR6及びCCR4の強い発現を伴っていた。またAhRのアンタゴニストであるCH-223191の添加によってIL-22の産生の増加は抑制され、これはTCDDに暴露されてもAhRは他のAhR ligandに結合可能であることを示唆した。また、興味深い事に、制御性T細胞(CD4+CD25hiFOXP3+)は、TCDDに暴露された症例とコントロール群(健常人)の間に差は認められなかった。

結論・意義:これらの結果は、生体が持続的なAhR ligandに暴露されると長期に渡る影響を獲得免疫に来たし、特にCD4陽性T細胞がIL-22を産生するように傾く可能性を示唆する。

辻 学 2011/7/1

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