Journal Club

Malassezia-derived indoles activate the aryl hydrocarbon receptor and inhibit Toll-like receptor-induced maturation in monocyte-derived dendritic cells.

Br J Dermatol. 2012 Apr 25. [Epub ahead of print]

【要旨】
著者らはGM−CSF, IL−4存在下に誘導したヒト単球由来樹状細胞(MoDC)へのマラセチアが産生するインドールの影響を検討した。
MoDCはAhRを発現し、マラセチア由来インドールであるindirubin, indolo[3,2-b]carbazole (ICZ), tryptanthrin,malassezinにより、CYP1A1の発現が一過性に誘導された。次にインドールとToll-like receptorのリガンド(LPS, poly (I:C), R848)を同時に添加するとMoDCのCYP1A1の発現が増強された。 Toll-like receptorのリガンドはMoDC を活性化させるが、その際にindirubinまたはICZを同時に添加すると、樹状細胞の活性化マーカー(CD80, CD83, CD86, MHC class II)の発現、樹状細胞からのIL-6, IL-12産生、アロT細胞の増殖誘導能が抑制された。
マラセチアは脂漏性皮膚炎などの発症に関与していることから、本研究の結果は、マラセチア由来インドールが樹状細胞の機能を抑制することで、これらの皮膚疾患の病態に関与している可能性を示唆するものと考えられる。


【用語】
インドール: ベンゼン環とピロール環が縮合した構造を取る有機化合物で、トリプトファンの分解産物。
poly (I:C): Toll-like receptor 3のアゴニスト
R848: Toll-like receptor 7/8のアゴニスト

内 博史 2012/5/7

閉じる