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Up-regulation of osteopontin expression by aryl hydrocarbon receptor via both ligand-dependent and ligand-independent pathways in lung cancer

Gene 2012; 492:262-269

【要旨】

AhRはOPN(osteopontin)の発現を上昇させ、肺癌の発癌に関与している可能性がある。


OPNは免疫や組織のリモデリングだけでなく、発癌にも重要な役割を果たしていることが示されている。その発現の上昇は様々な癌で認められており、予後不良因子ともいわれており、OPNは癌細胞の成長や移動能を高めることが示されている。しかしながら、肺癌においてOPNが上昇するメカニズムは不明である。一方、AhRは、肺癌だけでなく前癌病変からその発現上昇が認められている。


本研究では、①AhRとOPNの発現レベルに正の相関が認められる②AhRがOPNを正にレギュレートしていることを以下のようにして示している。


①AhRとOPNの発現レベルに正の相関が認められる
腺癌48例、扁平上皮癌24例の組織標本を用いてAhRとOPNの免疫染色を行い、発現レベルの相関を見たところ、正の相関が認められた。
②AhRがOPNを正にレギュレートしている
・H1355細胞に対し、shRNAを用いてAhR発現をノックダウンしたところ、OPNの発現抑制が確認できた。
・BEAS-2B細胞に対し、AhRを過剰発現させたところ、OPNの発現上昇が確認できた。
・H1355細胞に対し、AhRのアンタゴニストであるDMF(Desmosflavone)で処理すると、OPNの発現抑制が確認できた。
・OPNのプロモーターのコンストラクトを作成し、ルシフェラーゼアッセイ系を用いて調べたところ、AhRとの共発現でその活性上昇を認めた。さらに、AhRのリガンドであるTCDDやベンゾピレンで処理したところ、その活性上昇はさらに高まった。
本研究では、OPNのプロモーター領域のどの部分がAhRによる活性化に重要であるかも調べている。


以上より、AhRはOPN(osteopontin)の発現を上昇させることで、肺癌の発癌に関与している可能性があると述べられている。


岩間 映二 2012/10/1

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