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Aryl Hydrocarbon Receptor Activation Down-Regulates IL-7 and Reduces Inflammation in a Mouse Model of DSS-Induced Colitis.

Ji T, et al., Dig Dis Sci. Mar 24, 2015

 【背景】 
 炎症性腸疾患の病因は腸内免疫系の調節不全と関連しているが、Aryl hydrocarbon receptor (AhR) は腸の慢性炎症を制御していると考えられている。また、IL-7は炎症性腸疾患の粘膜での炎症を引き起こす重要なサイトカインであり、腸上皮細胞間リンパ球 (IEL) は腸内の炎症を制御する際に働く免疫学的機構の1つである。


 【要約】
 今回筆者らは、炎症性腸疾患とIL-7の関与やAhRのリガンドであるFICZによる効果、それによるIELの変動や炎症に対する影響について調べた。

 野生型C57BL/6JマウスにDextran sulfate sodium (DSS) を投与して大腸炎を誘発した群、それにFICZを投与した群、コントロール群の3群で検討した。

 その結果、DSS誘発性大腸炎のマウスでIL-7の発現が増加していたが、FICZによりその発現が抑制され、炎症も改善していた。また、DSS投与によってCD8αβ+ IEL及び CD8+ IELが増加し、TCRγδ+ IELが減少していた。その一方、FICZによってCD8αβ+ IEL及び CD8+ IELが減少し、TCRγδ+ IELが増加していた。またT cellの初期活性化マーカーであるCD69のサブセットがDSS投与によってCD4+, CD8+ともに増加していたが、FICZによってそれらはともに減少していた。

 以上より筆者らは、FICZがマウスにおけるDSS誘発性の大腸炎でIL-7の発現を抑制し、その炎症が軽減されていることを明らかにし、AhR関連の物質が炎症性腸疾患に対する新たな治療薬になり得ることを見出した。


清松 真理 2015/4/30

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