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Urban particulate matter down-regulates filaggrin via COX2 expression/PGE2 production leading to skin barrier dysfunction

Chiqng-Wen Lee et al. Sci Rep, 2016 Jun 17;6:27995. doi: 10.1038/srep27995

背景
空気中のPM (particulate matter) は、炎症性サイトカインを誘導し、呼吸器障害などを引き起こすことが知られている。また、フィラグリンは皮膚のバリア機能維持に重要であり、COX2/PGE2を含む炎症性サイトカインは皮膚に炎症を起こし、アトピー性皮膚炎患者でフィラグリンを減少させることがわかっている。

要約
・ヒトケラチノサイトで、PMは、COX2, PGE2を増加、フィラグリンを減少させ、AhR, Nox2のsiRNA処理によりCOX2, PGE2、フィラグリンのタンパク質発現が減少した。

・PM添加下に、AhR antagonist, NOX2 inhibitorを添加すると、NADPH oxidase活性とROS発生量が減少し、PGE2, COX2のmRNA, タンパク質発現が減少した。PM添加で、p47phax は、細胞質から細胞膜へ移動し、AhR antagonist, NOX2 inhibitor,の添加で、NOX2活性化に必要なp47phax のリン酸化が阻害された。

・PM添加で、ERK1/2, p38, JNK1/2がリン酸化された。NF-kB inhibitorを添加すると、COX2のmRNA,タンパク質発現は減少し、p65のリン酸化は阻害された。MEK1/2 inhibitor, p38 inhibitor添加でNF-kBのタンパク質発現は阻害されたが、JNK inhibitor添加で、NF-kBの発現は阻害されなかった。

・AP-1 (activator protein 1) inhibitorでCOX2が減少し、JNK inhibitor添加でc-Jun, AP-1のタンパク質発現が阻害された。

・マウス背部にPM塗布に加え、NOX2 inhibitorおよびAhR antagonistを塗布すると、病理組織でPMによる皮膚肥厚は改善し、免疫染色、タンパク質レベルで、PMによるCOX2の増加およびフィラグリンの減少は、いずれも改善がみられた。


結論
PMによるCOX2, PGE2発現に、AhR/NOX2シグナルが重要であり、AhRは、PMによる皮膚バリア機能障害に対する治療のターゲットとなりうることを示した。

冬野 洋子 2016/10/13

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