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AhR mediates an anti-inflammatory feedback mechanism in human Langerhans cells involving FcεRI and IDO.

Koch S, et al. Allergy. 2017 Apr 4. doi: 10.1111/all.13170.

背景
アトピー性皮膚炎患者では、Langerhans cell (LC) においてIgEに高親和性の受容体であるFCεRIが高発現している。これまでの研究により、コールタールがAhRのリガンドであり、AhR活性を抑えることでアトピー性皮膚炎が軽快することが分かっている。また、ナローバンドUVBによる光線治療は、アトピー性皮膚炎患者のFCεRIを減少させる。本研究では、AhRのリガンドであるFICZ1)がヒト皮膚の樹状細胞におけるFcεRIの発現にどのような影響を与えるかを検討した。


要旨
まず、健常人由来の新鮮な皮膚を用いて、LCにはAhRとAhRRが発現しており、表皮細胞にはAhRRが発現していないことをフローサイトメトリーで初めて確認した。次に、CD34LC2)にFICZを処理したところ、AhRとAHRRはmRNAおよび蛋白質レベルで発現していた。さらに内因性AhRリガンドであるFICZによるAhRの活性化で、CD34LCのFcεRIの蛋白質の発現は減少し、FCER1AのmRNAの発現が減少したが、FCERAGのmRNAは変化しなかった。なお、CD34LCのUVB照射ではFcεRIの発現は減少した。CD34LCは抗FcεRI抗体処理で、IDO3)のmRNA発現が上昇傾向となり、それはCD34LCの成熟度と関連していた。CD34LCのFICZ処理によるAhRの活性化で、IDOのmRNA発現は上昇したが、それはLCの成熟度に関係なかった。


結論
筆者らは、LCにおいてFICZによるAhRの活性化が、FcεRIの発現を減弱させ、IDOの発現を誘導することを明らかにした。AhRが介在する、この抗炎症フィードバック機構は、アトピー性皮膚炎の治療ターゲットになり得るかもしれない。


キーワード
1) FICZ 6-formylindole[3,2-b]carbazole. UVB照射によりトリプトファンから生成されるAhRのリガンド
2) CD34LC ヒトCD34 陽性造血幹細胞から生成されたLangerhans cell
3) IDO indoleamine 2,3-dioxygenase. 樹状細胞に発現し、免疫抑制反応に関与するトリプトファン代謝酵素



冬野 洋子 2017/06/19


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