全身の保湿と保湿薬 | 医師の視点で考えるアトピー性皮膚炎 | アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

全身の保湿と保湿薬

アトピー性皮膚炎治療において保湿は非常に重要です

アトピー性皮膚炎では体質的に皮膚バリア機能の異常があり、乾燥肌になります。炎症がおこると皮膚バリアがさらに壊れ、乾燥肌が重症化します。ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏は炎症を低減させますが、保湿力はほとんどありません。
アトピー性皮膚炎の治療では、“乾燥肌を治療するための保湿薬の外用”と“皮膚の炎症を治療するためのステロイド外用薬やタクロリム軟膏の外用”は、車の両輪といえます。この二つをしっかり行うことによってはじめて、アトピー性皮膚炎を上手にコントロールすることができます。

保湿薬の塗り方

保湿薬は入浴後5分以内に塗るのが効果的です。入浴後は皮膚が水分を吸収しているため、保湿薬を塗ることで水分が逃げないように皮膚に“ふた”をすることができます。5分を過ぎてしまった場合は、化粧水を入れた霧吹きで皮膚を湿らせてから保湿薬を塗るようにしましょう。
保湿薬は湿疹のある部位だけでなく、全身に塗るようにします。指先ではなく手のひらに保湿薬を多めにとり、体のしわに沿って塗ると、皮膚に広がりやすく塗り残しも少なくなります(図22)。保湿は季節に関係なく、一年を通じて継続することが大切です。全身保湿はあまり時間をかけず、さっと2分以内で終了させるのが長続きのコツです。

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自分に合った保湿薬を選び、毎日継続することが大切です

医師が処方できる保湿薬の種類と長所・短所を表1にまとめました。
保湿薬は基本的に安全な塗り薬ですが、べとべとして肌に合わない、サラサラしすぎて乾燥肌に効果がない、種類によっては刺激感を感じるなど、個人差があります。できるだけ自分の肌に合ったものを選択してください。数種類を使用しても構いませんし、市販の薬でも構いません。夏はローション系の保湿薬、冬はクリーム系の保湿薬など、季節ごとに使い分けるのもいいでしょう。何より大切なことは、毎日継続することです。

表1 様々な保湿外用薬の長所と短所

保湿外用薬には様々な種類があります。主な保湿外用薬とその長所・短所を表に示します。具体的な選択は皮膚科の先生から処方してもらうか、あなたの皮膚の状態に合わせて指示してもらいましょう。

保湿外用薬 長 所 短 所
油脂性軟膏
(白色ワセリン、プラスチベース、
亜鉛華軟膏、親水軟膏)

保湿外用薬の基本

安価

刺激感もほとんどない

ベタつく使用感が好まれない場合がある

尿素クリーム、ローション
(ウレパール、ケラチナミン、
パスタロンなど)

保湿効果が高い

ベタつきが少ない

皮膚炎の部位に塗ると刺激がある場合がある

ヘパリン類似物質
(ヒルドイド、ヒルドイドソフト、
ヒルドイドローション)

保湿効果が高い

ベタつきが少ない

塗りのばしやすい

種類により僅かなにおいがある

その他
(アズノール軟膏、ユベラ軟膏、
ザーネ軟膏、オリーブ油)

比較的ベタつきが少ない

各薬剤により異なる

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