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An Endogenous Ligand of Aryl Hydrocarbon Receptor 6-Formylindolo[3,2-b]Carbazole (FICZ) is a Signaling Molecule in Neurogenesis of Adult Hippocampal Neurons.

芳香族炭化水素受容体の内因性リガンドである6-ホルミルインドロ[3,2-b]カルバゾール(FICZ)は、成人の海馬ニューロンの神経新生におけるシグナル伝達分子である。

Keshavarzi M, Khoshnoud MJ, Ghaffarian Bahraman A, et al.
J Mol Neurosci. 2020 Feb 10. doi: 10.1007/s12031-020-01506-x. [Epub ahead of print]

神経発生は、学習および海馬依存の記憶に影響を与える動的かつ生理学的な発達プロセスであり、多くの細胞の微小環境とさまざまなタイプの転写因子によって調節されている。

本研究では、内因性リガンドである6-ホルミルインドロ[3,2-b]カルバゾール(FICZ)によって活性化された芳香族炭化水素受容体(AHR)による神経新生の効果、およびWnt /β-カテニンシグナル伝達経路との相互作用について検討を行った。またそれに応じた、学習と海馬依存の記憶能力の変化について調査を行った。

雄のBALB / Cマウスに腹腔内(IP)注射により、それぞれ体重100μg/ kg、1mg / kg、および5mg / kgの単回投与でFICZ、CH223191、およびXAV-939投与を行った。 7日目と28日目にqRT-PCRによる遺伝子分析とタンパク分析を行なった。海馬依存の記憶能力を評価するために、治療後28日目に文脈的恐怖条件付け試験を行った。

FICZの投与は、proneural transcription factors であるASCL1およびNgn2、未熟な神経マーカーであるDCX、分化ニューロンマーカーであるNeuN、ならびにβ-カテニンのmRNAおよびタンパク質レベルの上昇を誘導した。また、海馬依存の記憶能力と学習スキルがFICZの投与によって改善され、AHRとWnt /β-カテニン阻害によって損なわれることも示された。

この研究で初めて、AHRの内因性リガンドであるFICZが短期および長期の記憶と学習スキルにプラスの効果があることを実証された。このメカニズムは、AHR-Wnt /β-カテニンのクロストークによって調節されている可能性がある。



辻 学 2020/03


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