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Prenatal dioxin exposure and thyroid hormone levels in the Seveso second generation study.

セベソ次世代研究における周産期のダイオキシン曝露と甲状腺ホルモンレベルの関係について

Warner M, Rauch S, Ames J, Mocarelli P, Brambilla P, Signorini S, Eskenazi B.
Environ Res. 2020 Apr;183:109280. doi: 10.1016/j.envres.2020.109280. Epub 2020 Feb 21.
PMID: 32311913

背景:
動物学において、周産期の2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)への曝露が甲状腺の恒常性と甲状腺ホルモンの濃度を変化させるが、その疫学的根拠は限定的である。

目的:
我々は、1976年のイタリアSevesoでの化学工場の爆発事故の結果、TCDDへ曝露された女性から生まれた子供についてのコホート研究であるSeveso Second Generation Studyにおいて、周産期におけるTCDDへの曝露と甲状腺ホルモンの濃度の関連性を確認することを目的とした。

方法:
我々は空腹時採血のデータを含む完全なフォローアップのデータに基づき、570人(288人の女児と282人の男児)の子供を対象とした。全甲状腺ホルモンとfree チロキシン(T4)、そして甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血清濃度を、イムノアッセイを用いて測定した。我々は胎児へのTCDD曝露量を、1)爆発後すぐに採取された母体の初期のTCDDの血清濃度、2)妊娠時の母体のTCDDの推定値、から算定した。

結果:
母体の初期のTCDD濃度はT3の低下と関連していた。抗甲状腺抗体高値の参加者では、母体の初期の血清TCDD濃度と逆相関がみられ、またfree T3は著明に抗甲状腺抗体正常値の参加者と比較して上昇していた。我々はまた、抗甲状腺抗体値の高い場合には、母体の初期のTCDD濃度とTSH濃度の間に正の相関があることを確認したが、抗甲状腺抗体正常値である場合にはそれは認められなかった。同様の結果が推定された妊娠中のTCDDについても確認された。

議論:
我々の研究の結果は出生前の強力な内分泌かく乱物質であるTCDDの曝露が、のちの甲状腺機能を変化させることを示唆するものである。



井手 豪俊 2020/04


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