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Co-expression of the aryl hydrocarbon receptor and estrogen receptor in the developing teeth of rat offspring after rat mothers' exposure to 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin and the protective action of alpha-tocopherol and acetylsalicylic acid.

2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン曝露後のラット胎児歯における芳香族炭化水素受容体およびエストロゲン受容体の共発現とα-トコフェロールおよびアセチルサリチル酸の保護作用

Dobrzyński M, Kuropka P, Leśków A, Herman K, Tarnowska M, Wiglusz RJ.
Adv Clin Exp Med. 2019 Jul;28(7):973-980. doi: 10.17219/acem/99613.
PMID: 30684314

背景:
2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)への曝露は、多くの臓器に悪影響を及ぼす可能性がある。毒性はエストロゲン受容体(ER)と類似した作用機序を持つ芳香族炭化水素受容体(AhR)との複合体形成により引き起こされる。α-トコフェロール(E)やアセチルサリチル酸(ASA)を含むいくつかの物質は、子孫へのTCDDの毒性を軽減することが可能である。

目的:
本研究の目的は、TCDD に曝露された母親ラットの、子供の切歯における AhR と ER の共発現を、免疫組織化学的および組織学的手法を用いて評価することである。さらに、EとASAの保護的役割の可能性についても検討した。

対象と方法:
母親が交配前にTCDDに曝露された生後2日齢のラットの子供を、対照群(C)、TCDD群、TCDD+E群、TCDD+ASA群の4群に分け、そのうちの1群をTCDD群とした。

結果:
TCDD群では、C群と比較してER発現が増加し、AhR発現が減少した。TCDD+E群、TCDD+ASA群では、TCDD群に比べてERの発現が弱いか、あるいは陰性で、AhRの発現がやや強かった。

結論:
歯の発育期におけるAhRとERの共発現は、このプロセスの制御におけるAhRとERの役割を示唆している。また、両受容体はTCDDの無害化過程にも関与している。TCDD+E群およびTCDD+ASA群におけるAhRの増加は、抗酸化剤および抗炎症剤の予防作用を示しており、TCDDの悪影響を制限する可能性がある。



塚本 華倫 2020/07


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