Journal Club

IL-24 Negatively Regulates Keratinocyte Differentiation Induced by Tapinarof, an Aryl Hydrocarbon Receptor Modulator: Implication in the Treatment of Atopic Dermatitis

IL-24は芳香族炭化水素受容体の調節薬であるタピナロフによって誘導されるケラチノサイトの分化を負に制御する。

Yen Hai Vu, Akiko Hashimoto-Hachiya, Masaki Takemura, Ayako Yumine, Yasutaka Mitamura, Takeshi Nakahara, Masutaka Furue, Gaku Tsuji
Int J Mol Sci. 2020 Dec 10;21(24):9412. doi: 10.3390/ijms21249412.

アトピー性皮膚炎(AD)の発症には、フィラグリン(FLG)やロリクリン(LOR)の発現低下などの皮膚バリア機能障害が重要な役割を担っている。芳香族炭化水素受容体(AHR)は、リガンドで活性化される転写因子であり、ケラチノサイトの分化を制御することから、AD治療のターゲットとなる可能性がある。近年、AHR調節薬であるタピナロフがADの発症を抑制することが臨床研究により明らかにされた。この分子機構を調べるために、我々はタピナロフを投与した正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)を解析した。

タピナロフは、AHR依存的にFLGとLORのmRNAとタンパク質の発現を上昇させた。また、タピナロフはJanus kinase (JAK) - Signal Transducer and Activator of Transcription (STAT)を活性化するサイトカインであるIL-24の分泌を誘導し、FLGとLORの発現を抑制した。

このことは、AHR活性化におけるIL-24/STAT3軸を阻害すれば、皮膚バリア機能障害の改善されることを示唆した。さらに、ADの主要サイトカインであるIL-4によって誘導されるFLGとLORの発現低下をタピナロフは単独で回復させ、JAK阻害薬との併用でその効果を高めた。これらの知見は、治療用AHR 調節薬と JAK 阻害薬を用いた AD 治療の新たな治療手段を提供するものである。



辻 学 2021/09


閉じる