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Aryl hydrocarbon receptor activation drives polymorphonuclear myeloid-derived suppressor cell response and efficiently attenuates experimental Sjögren's syndrome

AHRの活性化がPMN-MDSCsの応答を誘導し、実験的シェーグレン症候群を効果的に抑える

Yanxia Wei , Na Peng Chong Deng, Futao Zhao, Jie Tian, Yuan Tang, Sulan Yu, Yacun Chen, Yu Xue, Fan Xiao, Yingbo Zhou, Xiaomei Li, Hejian Zou, Ke Rui, Xiang Lin, Liwei Lu
Cell Mol Immunol. 2022 Dec;19(12):1361-1372. doi: 10.1038/s41423-022-00943-5. Epub 2022 Nov 11.
PMID: 36369368 PMCID: PMC9709038 (available on 2023-12-01) DOI: 10.1038/s41423-022-00943-5

Myeloid-derived suppressor cells: MDSCsは、免疫調節と、免疫寛容の免疫抑制能を持つ様々な細胞からなる骨髄細胞から構成されている。これまでに、筆者らは原発性シェーグレン症候群と、シェーグレン症候群モデルマウス(ESS)でMDSCの機能障害を報告している。しかし、MDSC機能障害の分子メカニズムについては、ほとんどわかっていない。この研究では筆者らは、ヒトと、マウスのPMN-MDSCsにおいてAhRが高発現していることを初めて報告した。

食事によるトリプトファンから産生される天然のAhRリガンドであるインドール-3-プロピオン酸(indole-3-propionic acid: IPA)は、PMN-MDSCsの分化を著明に促進し、ROS(活性酸素)を産生させることで、CD4陽性T細胞を抑制した。反対に、トリプトファン除去食は、PMN-MDSCを減少させ、IPA投与で回復した。注目すべきことに、ESSを増悪させると、PMN-MDSCsにおいてAhRの発現は減少し、一方で、AhR拮抗剤は、ESSの病態を増悪させ、エフェクターT細胞(Th1, Th17, T follicular helper細胞)反応を増強させた。同様に、トリプトファン除去食でもエフェクターT細胞反応の増強がみられた。ESSを増悪させると、PMN-MDSCsにおける抑制性転写因子であるインターフェロン調節因子(IRF4)の発現が上昇した。クロマチン免疫沈降アッセイ(ChIPアッセイ)により、IRF4はAhRのプロモーター領域に結合することが明らかになり、IRF4欠損マウスでは、AhRが介在するPMN-MDSC応答を著明に増強させ、IRF4はAhRが介在するPMN-MDSCs反応を抑制することが明らかになった。さらに、ESSマウスへの、食事としてのIPA投与は、ESSマウスの唾液腺の病態を著明に改善させた。

以上から、筆者らは、PMN-MDSC応答の調節におけるAhRの注目すべき役割を明らかにし、AhRが原発性シェーグレン症候群の治療のターゲットになる可能性を示した。



冬野 洋子 2023/03


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