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Aryl hydrocarbon receptor sulfenylation promotes glycogenolysis and rescues cancer chemoresistance

スルフェニル化したAhrはグリコーゲン分解を促進し、癌の化学療法抵抗性を担う

Nannan Zhou , Jie Chen , Zheng Ling , Chaoqi Zhang , Yabo Zhou , Dianheng Wang , Li Zhou , Zhenfeng Wang , Nan Sun , Xin Wang , Huafeng Zhang , Ke Tang , Jingwei Ma , Jiadi Lv , Bo Huang
J Clin Invest. 2023 Dec 15;133(24):e170753. doi: 10.1172/JCI170753.

腫瘍細胞に対する治療の反応として一般的に活性酸素種(ROS)が産生され、腫瘍細胞死を引き起こすことがある。しかし、腫瘍細胞がROSを除去することで酸化還元のバランスを保ち、化学療法に対して治療抵抗性となるメカニズムはまだ分かっていない。

(ROSによって)システインスルフェニル化したAhrは熱ショックタンパク質90複合体から分離するが、薬物治療された腫瘍細胞のグリコーゲン複合体のPPP1R3ファミリーメンバーである PPP1R3Cと結合し、グリコーゲンホスホリラーゼを活性化してグリコーゲン分解とそれに続くペントースリン酸回路を開始し、ROSを除去して化学療法に対して治療抵抗となるNADPHの産生につながることを本研究は明らかにした。

ROSは化学療法に対して感受性のある細胞より抵抗性のある細胞に多く存在し、スルフェニル化したAhrは急速に過剰なROSを除去することが明らかになった。これらの発見は、Ahrが化学療法抵抗性に関わるROSのセンサーとなり得ることを明らかにしており、がん患者の化学療法抵抗性を覆す可能性がある。



芳賀 美和 2024/02


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