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Activation of the Aryl Hydrocarbon Receptor Dampens the Severity of Inflammatory Skin Conditions

Immunity 40, 1-13, June 19, 2014

【要旨】

 環境刺激が、乾癬や自己免疫疾患の病因と関与していることは知られていたが、そのメカニズムはあまり分かっていなかった。今回筆者らは、環境刺激を感知する転写因子であるAryl hydrocarbon receptor (以下、AhR) が、乾癬における炎症に関与していることを明らかにした。乾癬患者由来の皮膚組織にAhR agonistを処理した結果、乾癬関連遺伝子の減少が認められた一方で、AhR antagonistによりそれらの遺伝子は顕著に増加していた。同様に、AhR内因性リガンドのFICZにより、イミキモド誘発性の皮膚炎が軽減した。さらにAhR欠損マウスでは、対照群と比較して、明らかにイミキモド誘発性の皮膚炎が悪化していた。


 AhR欠損の角化細胞において、炎症マーカーが増加しており、そのメカニズムとして転写因子であるAP-1ファミリーの活性化が示唆された。したがって、AhRの活性化による炎症応答の抑制は、AP-1 pathwayの阻害によると考えられる。また、この反応はDCやマクロファージなどの造血細胞では認められなかった。


 以上より、筆者らは乾癬等における炎症応答に、AhRが重要な役割を果たしていることを明らかにし、AhRの活性化が慢性炎症疾患に対する新たな治療法になり得ることを見出した。


清松 真理 2014/11/11

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