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Nrf2 negatively regulates melanogenesis by modulating PI3K/Akt signaling.

PLoS One. 2014 Apr 24;9(4):e96035. doi: 10.1371/journal.pone.0096035. eCollection 2014.

 【背景】 Nrf2は酸化的ストレスや様々な炎症反応から細胞を防御する作用を誘導する転写因子である。Keap-1は定常状態では細胞質内でNrf2に結合し、Nrf2の核内移行を阻害し、Nrf2経路を抑制している。Nrf2がメラニン産生に及ぼす影響については、今までに、尋常性白斑患者の表皮でNrf2の転写が促進している(J Invest Deramtol, 2010)などの報告がある。


 【要約】 この研究では、Nrf2を強発現させたヒト由来の色素細胞を用いて、Nrf2経路が色素産生に及ぼす影響とその機構について調べた。
その結果、Nrf2を強発現させた色素細胞では、細胞の色素量が減少し、メラニン産生の律速酵素であるチロシナーゼ活性の低下、チロシナーゼプロモーター領域の活性低下がみられ、さらにチロシナーゼ、チロシナーゼ関連蛋白であるTRP-1のmRNA、蛋白量とも減少していた。
これらの変化は、Keap-1を共に細胞に発現させることですべて消失した。また、Nrf2を強発現させた色素細胞では、メラニン産生に関与する細胞内シグナル伝達のうち、PI3K/AKT経路の活性化が確認された。
チロシナーゼやTRP-1はNrf-2の標的遺伝子ではないとされており、Nrf2の活性化がPI3K/AKTシグナルの活性化をきたし、メラニン産生を抑制していると考えられた。


三苫 千景 2014/12/25

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