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β-Lactam hypersensitivity involves expansion of circulating and skin-resident TH22 cells.

Sullivan A. et al. J Allergy Clin Immunol. 2017 Feb 20. pii: S0091-6749(17)30238-5. doi: 10.1016/j.jaci.2017.01.020.

背景
βラクタム剤過敏症などの遅発型薬剤過敏症は、薬剤特異的T細胞の表現型及び機能により分類される。
しかし、Th17やTh22など皮膚のアレルギー反応において重要なメディエーターであるT細胞サブセットの
関与については詳しく研究されていない。


目的
βラクタム剤、ピペラシン過敏症患者の血液、皮膚に浸潤した薬剤特異的T細胞の性質を明らかにし、その分化誘導にarylhydrocarbon receptor (AHR)シグナルが関与するかどうか検証した。


方法
ピペラシン過敏症患者の血液と、ピペラシンの皮内反応部の紅斑より採取した皮膚から薬剤特異的T細胞を単離し、クローニングした。IL-17、IL-22もしくはその両方が薬剤過敏症に関与するかどうかを検証するためにリコール抗原後の細胞表現型と機能を分析した。健常人のナイーブT細胞でも同様の分析を行った。


結果
・ピペラシリン過剤症患者の血液から単離したPBMC(末梢血単核細胞)、T細胞クローンいずれも、
 ピペラシン刺激で増殖しIFNγ、IL-13、IL-22を産生したが、IL-17は産生しなかった。
・皮内反応を行った皮膚由来の薬剤特異的T細胞クローンも、血球と同様のサイトカインを産生し、
 パーフォリン、グランザイムB、Fasリガンドの産生が増加した。
・患者血液中及び皮膚由来のT細胞クローンは様々なケモカイン受容体を高発現し、CCL17、CCL27、
 存在下で、遊走した。
・ピペラシリン刺激にて健常人のナイーブT細胞もIFNγ、IL-13、IL-22を産生し、細胞溶解因子の発現が
 増強した。
・AHR阻害剤は、ナイーブT細胞から、薬剤特異的IL-22分泌細胞への分化を妨げた。


結論
・βラクタム剤、ピペラシン過敏症患者では、血液中、およびピペラシンの皮内反応で炎症を誘発した皮膚に
 IL-22を産生する薬剤特異的T細胞が増加していた。さらにナイーブT細胞からの薬剤特異的T細胞への
 分化は、AHRシグナルに依存していることが明らかになった。



村井 美華 2017/05/13


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