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Aryl hydrocarbon reseptor (AhR) transcription is decreased in skin of vitiligo patients.

Rekik R et al. Int Journal of Dermatol 2017 doi 10.1111/ijd.13761

[背景]
自己免疫反応の破綻が皮膚におけるメラノサイトの減少を来していると考えられているが、白斑の発症機序については明らかでない。リガンド依存性の転写因子であるaryl hydrocarbon receptor (AhR)がメラノサイトのホメオスタシスにも関わっているという知見がある。
皮膚に中波紫外線(UVB)を照射してメラニンが生成される過程においてAhRシグナル経路の活性化がみられ、また、AhR遺伝子欠損マウスにおいてメラノサイト数の減少や尾の色素脱失がみられたという報告がある。
IL-22は皮膚における抗菌作用、炎症反応、組織修復において役割を果たしているサイトカインの一つであるが、AhRはこのIL-22の産生にも必要であると考えられている。
そこでこの研究では、白斑患者の皮膚におけるAhRの転写と血清、皮膚におけるIL-22の発現を検証した。


[方法・結果]
6名の未治療の白斑患者の1.【白斑病変部】、2.【白斑に隣接する皮膚】、3.【白斑ではない皮膚】、4人の健常者の皮膚を生検し、AhR mRNA発現を検証した。
AhR mRNAは健常者皮膚で最も高く、白斑患者ではいずれも低かったが、特に白斑ではない皮膚で発現が低かった。また、未治療の白斑患者15名の血清中IL-22と皮膚組織におけるIL-22 mRNAの発現を20名の健常者のそれと比較したところ、血清中IL-22は健常者、患者とも検出されないかごく低値で、いずれの皮膚組織でもIL-22 mRNAは検出されず、IL-17も同様の結果だった。


[結論]
白斑患者では白斑部、さらに白斑周囲の皮膚においてもAhRの転写が障害されていることが明らかになった。これは周囲に白斑が拡大している現象を説明するとともに、AhRシグナル経路を活性化するUVB療法が白斑に対して治療効果があることを裏付けているかもしれない。



小西 さわ子 2017/11/29


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