アトピー性皮膚炎(AD)では、眼瞼炎、角結膜炎、円錐角膜、白内障、網膜剥離など様々な眼合併症がみられる。頻度は眼疾患全体では、25-50%と報告されている。その中でも、白内障や、網膜剥離は視力を著しく悪化させる危険性が高い。白内障に関しては、主に掻破に伴って眼球が機械的に圧迫されることに起因するといわれており、顔面皮疹の重症例で発生しやすい。アトピー性皮膚炎と白内障の合併は1921年Davisによって初めて報告された。その後、1936年には、Brunstingによって、アトピー性皮膚炎のおよそ10%に若年性の白内障が併発することが明らかにされた¹。1952年にはステロイド外用剤が初めて臨床応用されたが、ステロイド外用薬登場後もアトピー性皮膚炎における白内障合併率に大きな変化はない。ステロイド使用による副作用との鑑別が問題となる場合もあるが、アトピー性白内障としての独立疾患のほうが頻度は高い。また、これまでステロイド外用薬の有無で、白内障の合併頻度の比較もされているが、いずれもステロイド外用剤の影響は考えがたいと報告されている²。