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タクロリムス外用療法
佐伯秀久1)、鳥居秀嗣2)
1)東京大学大学院医学系研究科皮膚科、2)社会保険中央総合病院皮膚科
クエスチョン
Q1: プロトピック®軟膏とはどのような薬ですか?
Q2: プロトピック®軟膏の炎症を抑える強さや特長を教えてください。
Q3: プロトピック®軟膏の使用量上限の目安を教えてください。
Q4: プロトピック®軟膏の刺激感について教えてください。
Q5: プロトピック®軟膏を塗ってはいけない部位を教えてください。
Q6: 妊娠中や授乳中でもプロトピック®軟膏を使えますか?
Q7: プロトピック®軟膏を塗っている間、日焼けをしても構いませんか?
Q8: プロトピック®軟膏を塗っているとリンパ腫という癌や皮膚癌が起こるという記事が新聞に出ていました。プロトピック®軟膏を使っていると癌になるというのは本当でしょうか?
アンサー
タクロリムス外用療法
Q1: プロトピック®軟膏とはどのような薬ですか?

イラスト:タクロリムス外用療法

A1: プロトピック®軟膏とはタクロリムスという有効成分が含まれたアトピー性皮膚炎の治療薬です。この薬は体の免疫反応が高まって過度になっている状態を正常に整えることによって、ステロイド外用薬と同じように皮膚の炎症を抑える作用を持っています。0.1%軟膏は16歳以上の成人のアトピー性皮膚炎患者さんに使用でき、0.03%(小児用)軟膏は2-15歳の小児のアトピー性皮膚炎患者さんに使用できます。
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Q2: プロトピック®軟膏の炎症を抑える強さや特長を教えてください。
A2: プロトピック®軟膏の炎症を抑える強さは、0.1%軟膏では強いクラス(5つの段階のうち3番目のクラス)のステロイド外用薬と、0.03%軟膏では中くらい〜強いクラス(5つの段階のうち2-3番目のクラス)のステロイド外用薬と同じ程度です。またプロトピック®軟膏には、ステロイド外用薬の長期にわたる連続使用で起こるといわれている皮膚萎縮や毛細血管拡張がありません。
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Q3: プロトピック®軟膏の使用量上限の目安を教えてください。
A3: プロトピック®軟膏は1日に1-2回外用しますが、1回の使用量の上限と1日の使用量の上限は以下の通りです。
年齢(体重)区分 1回の使用量の上限 1日の使用量の上限
2-5歳(20kg未満)   1 g   2 g
6-12歳(20-50kg)   2 -4 g   4 -8 g
13歳以上(50kg以上)   5 g   10 g
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Q4: プロトピック®軟膏の刺激感について教えてください。
A4: プロトピック®軟膏を塗った直後しばらくの間、かゆみがでたり、ほてり感やヒリヒリ感などの刺激感がよく起こります。これらの刺激感は、この薬が効いて、皮膚の状態がよくなるにつれて、普通1週間くらいでおさまりますが、刺激感がひどい場合や刺激感がなくならない場合などは医師・薬剤師にご相談ください。
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Q5: プロトピック®軟膏を塗ってはいけない部位を教えてください。
A5: 以下の部位には塗らないでください。
(1)皮膚がジュクジュクしている部分
(2)おできやにきび
(3) 皮膚以外の部分(口や鼻の中の粘膜)や外陰部
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Q6: 妊娠中や授乳中でもプロトピック®軟膏を使えますか?
A6: 妊婦または妊娠している可能性のある方は塗ってはいけません。また、プロトピック®軟膏を使用中の方は授乳を避けてください。
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Q7: プロトピック®軟膏を塗っている間、日焼けをしても構いませんか?
A7: プロトピック®軟膏を塗っている間は塗った患部を長時間、日光にさらさないように注意してください。また、日焼けランプや紫外線ランプも使用を避けてください。
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Q8: プロトピック®軟膏を塗っているとリンパ腫という癌や皮膚癌が起こるという記事が新聞に出ていました。プロトピック®軟膏を使っていると癌になるというのは本当でしょうか?
A8: マウスの実験では、高い血中濃度が長時間続くとリンパ腫が起こりやすくなることが分かっています。しかし、マウスと人間では皮膚の構造に違いがあり、人間で正しく使用している場合には、高い血中濃度が続く可能性はほとんど考えられません。
 また、外国でプロトピック®軟膏を使用中の患者さんにリンパ腫、皮膚癌が見られたとの報告があります。しかし、プロトピック®軟膏を塗ったことが原因かどうか分かりませんし、何もしなくても自然に起こる確率と比べて高いわけではありませんので、プロトピック®軟膏を使うことによってリンパ腫や皮膚癌が増えることはないと考えられます。
なお、これらの点に関する日本皮膚科学会の見解がホームページ(http://web.kanazawa-u.ac.jp/~med24/atopy/tacrolimus.html)に詳しく出ておりますので、そちらも参考にしてください。
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