Q&A | 患者の視点で考えるアトピー性皮膚炎 | アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

Q&A

1.治療編(回答者:九州大学皮膚科 古江 増隆)

Q1 ステロイド外用薬を使って良くなっても、やめるとすぐに症状が悪くなるのは何故でしょうか。
A1 ステロイド外用薬は皮膚の炎症を抑えるのに一番効果がある薬です。しかし炎症が強いと、皮膚の下まで炎症があり、赤みが減ったから、かゆみが減ったからということで塗るのをやめてしまうとすぐに炎症がぶり返してしまいます。良くなったと思ってもすぐに塗るのをやめるのではなく、受診して医師に判断を求めましょう。
Q2 ステロイド外用薬を塗っていると紫斑ができると聞きました。紫斑とはどのようなものなのでしょう。
A2 紫斑とは皮下出血のことです。ステロイド外用薬の副作用で皮膚萎縮が起こると軽くぶつけただけで皮下出血しやすくなります。皮下出血は1週間程度で色は消えていきますしステロイド外用薬からタクロリムス軟膏に変えるなどすることで皮膚萎縮は治りますので、あまり心配することはありません。
Q3 ステロイド外用薬を止めて体内に溜まった毒を出し切ったのに、ここでまたステロイドを使うとリバウンドに耐えた自分を否定する事になると思い、標準治療に戻れません。
A3 ステロイド外用薬で体内に「毒」が溜まることはありません。外用薬で抑えられていた炎症が急激に悪化したことを「リバウンド」と認識しているのだと思います。悪化に耐えてがんばったことは素晴しいことですが、そのつらさを一日も早く取り除き、普通の生活をするためにも標準治療に戻ってきてください。
Q4 ステロイドを使用しても、タクロリムスを使用しても、一向に症状が良くなりません。私の症状を改善させるための手法はその他にないのでしょうか。
A4 ステロイド外用薬の種類を変える、薬の塗り方を見直す、悪化要因を排除する、免疫抑制剤の内服など良くなる方法はいろいろあると思います。主治医と相談してよくなる方法を見つけていってください。
Q5 ナローバンドや紫外線療法という光線療法とはどのようなものですか。
A5 光線療法とは医療用の紫外線治療器で紫外線を照射する治療法です。紫外線(Ultraviolet ray; UV)にはUVAとUVBがありどちらも有効ですし、保険適応です。また全身照射装置もあれば部分的に照射する装置もあります。紫外線は皮膚に 集まっている炎症細胞の活性化を弱め、かゆみを低減させる効果があります。標準的な外用治療と併用して治療することが一般的です。UVBの中で、とくに有効な波長のみを利用した治療法がナローバンドUVB治療です。

2.日常生活編

Q1 皮膚に症状があることで、就職や結婚ができないのではないかと心配しています。
A1 アトピー性皮膚炎があると外見に劣等感をもってしまいがちですね。でも就職の際には皮膚をみているのではなく、あなたがどのような人で、何がしたいのかという人間性を見ていきます。自分の長所をアピールしたりその仕事に就きたい意欲を示すことの方が大切だと思います。結婚も同じで、アトピー性皮膚炎があっても明るく、思いやりのある人は好まれるのではないでしょうか。実際に就職や結婚をして幸せに暮らしている人はたくさんいます。アトピー性皮膚炎があるからと消極的になることなく、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Q2 かゆくて眠れない場合はどうすれば良いでしょうか?
A2 かゆみ対策のところにあるような、冷やす、意識をそらすということをやってみます。寝ながら掻いていると掻くことに集中してしまうので、一度起きて本を読むなど意識をそらすことが大切です。眠気のある抗アレルギー薬もありますので、医師に相談してみましょう。
Q3 なぜ自分だけがアトピー性皮膚炎に苦しみ、痛くて、かゆい思いをしなければならないのかわかりません。こんな制限された人生に疲れました。
A3 ひとりで悩んでいるとこのような思いになりがちです。アトピー性皮膚炎で悩む人はあなただけではないですし、世の中つらい病気はたくさんあるという現実を知ると心が少し軽くなるのではないでしょうか。一人でじっとしていると、症状のことしか考えなくなってしまうので外に出て深呼吸してみたり、外界からの新鮮な刺激を受けるなどのリフレッシュをすることもよいでしょう。そしていろいろな人と出会い、様々な苦労を乗り越えて生きていることを知り、経験をすることで「自分だけが」という思いは薄れてくると思います。
最も重要と考えるのは、患者交流会などで同じ境遇、悩みを抱える人と関わることが何より有益であり、生きるヒントを得られると思います。

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