アトピー性皮膚炎 九州大学医学部皮膚科学教室TOPへ
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬
研究分担者 相馬 良直 聖マリアンナ医科大学皮膚科教授
研究協力者 川上 民裕 聖マリアンナ医科大学皮膚科准教授
要旨 はじめに 研究目的 方法 結果 考察 参考文献
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬評価表一覧
評価表の見方
評価法の見方
考察
2003年以降、アトピー性皮膚炎に対する抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の有効性に関するランダム化比較試験の文献をまとめた。かつては、アトピー性皮膚炎に対する抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の有効性に関してEBM的観点からも、否定的な見解がでていた1)。この影響なのか、海外の論文で有意義な臨床治験論文が皆無であったのに対し、本邦ではKawashima論文2)をはじめ、塩酸フェキソフェナジン、塩酸オロバタシンといった一部の抗アレルギー薬に極めてエビデンスレベルの高い報告がでた。今回の結果から、こうした薬剤はEBMの観点から、アトピー性皮膚炎に有効であることが証明された。今後、アトピー性皮膚炎における抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の位置づけは変わってくることが予想される。その動向に注目したい。

このように、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬は、アトピー性皮膚炎に対して、一部で有効性が確立した。しかし、他の薬剤では、まだ、EBM的観点からの充分な裏づけがなされていない。そのため、さらなるEBMを意識した検証が、より多くの抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬で、よりすすむことが望まれる。そして、個々の薬剤におけるアトピー性皮膚炎への有用性の相違などが示されれば、アトピー性皮膚炎治療により臨床的な貢献となるであろう。

最後に、アトピー性皮膚炎の皮膚症状や掻痒に対して、統一された評価法がないことが、この分野のEBM的検証を障害していると感じた。アトピー性皮膚炎の評価に一定の基準ができれば、これらの薬剤の有用性についてまとまった見解をつくる礎になると考える。さらなる発展を期待したい。
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