Ｂ．小柴胡湯
今回検索した範囲内で新しい文献は得られなかった。

Ｃ．十味敗毒湯（症例集積研究）
今回検索した範囲内で新しい文献は得られなかった。

Ｄ．柴胡清肝湯（症例集積研究）
今回検索した範囲内で新しい文献は得られなかった。

Ｅ．消風散（症例集積研究）
今回検索した範囲内で新しい文献は得られなかった。

Ｆ．柴朴湯（症例集積研究）
今回検索した範囲内で新しい文献は得られなかった。

2008年に小林らが気虚を伴うAD患者91例（14例脱落）に対し二重盲検ランダム化同時対照比較試験にて，補中益気湯あるいはプラセボを24週の長期にわたり投与した報告がなされた¹⁹．投与前の加療についてはそのまま継続されていた．気虚に関する評価はアンケート調査によってなされた．評価は皮疹の状態・面積によりスコア化した重症度，外用剤の使用量に外用剤のランクにより決定した効力相当係数（ステロイド；weak×1，mild×2，strong×4，very　strong×8，タクロリムス；×4）を乗じ算出した合計相当量（TEA），およびTEAが試験開始時から24週で50%以上増加した症例の割合で定義した増悪率によりなされた．重症度スコアでは補中益気湯群とプラセボ群で有意差は見られなかったが，TEAおよび増悪率は有意（p<0.05）に減少していた．試験期間中，重篤な有害事象はみられなかった．
その後，158例のAD患者に対し，上記RCTをふまえ有効性および安全性を明らかにする目的で行われた試験の報告がなされた²¹．投与前の加療についてはそのまま継続されていた．基本的兆候をはじめ気虚の各症状および皮疹重症度スコアにおいて，投与前後で有意（p<0.01）な改善がみられ，服用期間に応じた持続的な改善もみられた．外用剤使用量については服用期間中に顕著な変動は見られなかったが，投与前後では有意（p<0.01）な改善がみられた．有効率として，有効以上の評価が88.7%であり，重篤な副作用が見られなかったことからも有用な薬剤であることが示唆された．
また，RCTは気虚の患者を対象としたものであったが，患者の「証」によらない補中益気湯の有用性の検討を行った報告もなされた²²．これまでの報告同様，投与前の加療についてはそのまま継続されていた．結果，皮疹点数（重症度スコア）および外用薬点数（TEA）が投与開始前vs. 12週および24週，投与12週vs. 投与24週で有意差をもって減少した．全般改善度として改善以上が70.6%，有用度として有用以上が64.7%という総合評価であった．

Ｈ．梔子柏皮湯（症例集積研究）
今回検索した範囲内で新しい文献は得られなかった。

Ｉ．複方苦参（症例集積研究）
中国浙江省自然植物研究所にて製造された漢方方剤である．内服処方として苦参，虎杖，大青葉，土茯苓，当帰など10種類の成分からなり，外用処方として患部の洗浄用に苦参，黄連，黄こんなど7種類の成分の抽出液を，塗布用に苦参，虎杖，大青葉など7種類の成分の抽出液を白色ワセリンあるいは30%アルコールと混合したものを使用されている．

AD患者94例に対し複方苦参を3-12ヵ月投与（内服および外用）した報告である²⁴．投与前の加療については漸減した後中止されていた．投与前と投与後を比較して，皮疹の重症度スコアならびにかゆみスコアが有意（p<0.001）に減少しており，また secondary endpointとして血中好酸球数および血清IgE値も有意（p<0.001）に減少が見られた．全体として，著効34%，有効63%，やや有効3%という結果であった．
その後，同じグループから重症AD65例に対し複方苦参を9ヵ月以上投与（内服および外用）した報告が出された²⁵．同様に良好な結果が得られており，著効76.9%，有効20.0%，無効3.1%という結果であった．多数の成分からなる漢方方剤であるが，明らかな全身あるいは局所の重篤な副作用は報告されていない．

AD患者22例に対し当帰飲子を投与した報告である²⁶．自覚症状をアンケートにより調査し，痒み，乾燥などの項目が有意に改善したと報告されている.特に，冷え及び乾燥に対する自覚症状を持つ患者ほど痒みに対する効果がより高いことが示唆された．

AD患者36例に対し桂枝茯苓丸を4-6週間投与した報告である²⁷．投与前の加療についてはそのまま継続されていた．その結果，SCORAD，VASスコアを前後比較しており，それぞれ投与前48.84±3.16，48.58±3.32，投与後32.94±2.30，31.96±3.36と有意（p<0.01）に減少した．また，secondary endpointとして血清TARC値も有意（p<0.01）に減少が見られた．

顔面に紅斑を有するAD患者14例（3例脱落）に対し白虎加人参湯を2-4週間投与した報告である²⁸．投与前の加療についてはそのまま継続されていた．その結果，顔のほてりが投与2週後で有意（p<0.05）に減少しており，特に顔のほてりを強く自覚する患者群においては投与1週後ですでに顔のほてりが減少する傾向にあった．4週後においても，顔のほてりは減少したままであった．重篤な有害事象は認めなかった．

29．（RCT）AD小児患者85例に対し5種類の生薬（金銀花2g，薄荷1g，牡丹皮2g，蒼朮2g，黄柏2g）を12週間投与した報告である²⁹．投与前の加療についてはそのまま継続されていた．投与群とプラセボ群を比較して，皮疹の重症度スコア（SCORAD）は減少していたものの有意差は見られなかった．CDLQIにおいては，投与12週において有意（p=0.008）に減少していた．またmometasone furoateの外用量が有意（p=0.024）に減少しており，アレルギー性鼻炎の症状の中でくしゃみについては有意（p=0.003）に減少していた．血中好酸球数および血清IgE値については有意差が見られなかった．重篤な有害事象は認めなかった．
30．（症例集積研究）ADの成人例に4剤（柴胡清肝湯，治頭瘡一方，消風散，加味逍遥散）のどれかを6か月以上長期服用させ，服用前（1年前の同時期）と比較した結果，24例中13例（54.2%）において皮疹の改善がみられたとの報告³⁰がある．
31．（症例集積研究）小児AD患者10例にエキス剤として桂枝加黄耆湯,黄耆解毒湯を主に用い，煎じ薬を3例に使用した報告である³¹．7例（70%）に改善を認めた．
32．（症例集積研究）AD患者30例に清皮湯(加減)、消風散(石膏増量)、黄煌経験方(加減)のいずれかの煎じ薬をファーストチョイスとして処方し，薬物効果や証の変化に沿って3つの方剤，3つの加減方の中から選び直し治療した報告である³²．86.7%の症例でいずれかの方剤内服によりADスコアが6ヶ月以内に1/2以下に減少した．血清高感度CRP測定を6例で行い，煎じ薬内服治療前後で6例全例にCRPの低下を認めた．