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PubMed、医中誌いずれにおいても、眼合併症に関するRCTは検索されなかった。PubMedで検索された16報のうち、症例報告、アトピー性皮膚炎の合併症と関連の薄いもの、治療に関連のないものを除いた3報についてSRに示した。医中誌では、ランダム化比較試験が1報検索されたが、白内障手術に対する眼内レンズの選択に関する論文であり、アトピー性皮膚炎に直接関連するものではなかった3。その他、5報に関して同様にSRに示した。
眼合併症の発症頻度に関して報告されているものを、表1、2にまとめた。発症のリスクに関して、叩打癖の程度と顔面皮疹の重症度が高度に白内障発症に関与しており、年齢、ステロイド軟膏使用歴は関与が認められなかったとの報告があった4。中等度のアトピー性皮膚炎の小児(平均年齢36.2カ月)で行われた検討では、25.4%に眼周囲症状を認めたが、眼合併症の発症はアトピーの重症度などはいずれも関連性がなく、白内障は１例のみ、網膜剥離、円錐角膜の合併はなく眼合併症の頻度は低いと考えられた5。14歳以下の児100人で検討された報告では、43%に結膜炎などの眼合併症を認めたが、白内障、網膜剥離、円錐角膜の合併はなかった6。AD症例でのアレルギー性結膜疾患では、結膜嚢内細菌検査や涙液SEA/SEB特異的IgE抗体が陽性となることなどから黄色ブドウ球菌が増悪因子となる可能性も考えられている7。
発症要因として、近年、アトピー関連遺伝子と眼症状の有無に関しての検討などもなされており、interferon gamma receptor 1プロモーター領域の変異が、アトピー性白内障発症のリスク因子となることも示唆されている8。その他、角膜内皮細胞の変化を認めることなども報告されており9、何らかの素因を基に発症している可能性がある。また、外傷による水晶体上皮細胞の変化も加齢白内障と比較し、検討されている10。
白内障の治療に関しては、手術治療が選択される。網膜剥離も合併しやすく、術後網膜剥離のリスクの回避のために眼内レンズの挿入が勧められるとの報告があった11。
網膜剥離では、顔面叩打が最大の原因と考えられる。手術成績は他疾患によるものと変わりなく復位が得られる12。若年性の裂孔原性網膜剥離では近視が最大の発症原因であり、アトピー性皮膚炎の関与は剥離全体の6%程度に認められた13。手術加療が行われるが、アトピーの既往により術後感染症のリスクが上昇するとの報告があった14。
円錐角膜患者のうち15％程度で眼周囲の湿疹を認めた15,16。アトピー性皮膚炎患者では角膜移植の術後強角膜炎の発症リスクが高いと報告されている17。
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