九州大学医学部 皮膚科学教室 九州大学大学院医学研究院臨床医学部門外科学講座皮膚科学分野

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研究分野

 

痒みの生理学的研究について

 
 痒みは皮膚に生じる不快な感覚のひとつで、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、蕁麻疹、薬疹、白癬など皮膚科の様々な疾患で起こる代表的な症状です。また、皮膚疾患以外にも肝機能障害や血液透析など関連した痒みも知られています。現在のところ痒みを感じるメカニズムはまだはっきり分かっていません。以前は痒みは痛みの特殊形であると考えられていました。しかし、痛みに対しては逃げようとする反射を起こすのに対して痒みに対しては引っ掻こうとする反射が起こることや、鎮痛作用をもつモルヒネが痒みを引き起こすこと、疾患の状態により時に耐え難いほどの強い痒みが生じることがあることから、痛みと痒み別々の感覚であると考えられるようになってきています。私たちはモデル動物を使って電気生理学的手法(図1)、及び行動学的手法を用いて末梢神経での痒みのメカニズムに関して研究しています。
 
図1 神経細胞の活動電位の測定の模式図
図1 神経細胞の活動電位の測定の模式図

図1のラットモデルをもちいて、ラットにおける主要な起痒物質であるセロトニン(5−HT)を皮膚に投与したとき、投与局所領域を支配する知覚神経の反応を一本一本、電気的に記録したもので、調べた神経はA,B,Cの3種類のパターンのうち、いずれかの反応をする神経に分けられることがわかりました(図2)。同じ刺激(5-HT投与)に対する反応(発火)時間の長さから、特に図中の「A」の発火パターンを示す神経がラットにおける「痒み伝達神経」と考えられました。
 
 
図2 セロトニン (5-HT) 刺激に対するラットの知覚神経の反応
図2 セロトニン (5-HT) 刺激に対するラットの知覚神経の反応

Hachisuka J et al. J Neurophysiol. 2010 Jul;104(1):271-9.

(クリックで拡大と解説)

(蜂須賀 淳一)

 
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