アトピー性皮膚炎 九州大学医学部皮膚科学教室TOPへ
シクロスポリン内服療法
竹原和彦1)、越後岳士2)
1)金沢大学大学院医学系研究科皮膚科、2)金沢大学医学部附属病院皮膚科
要旨 はじめに 研究目的 研究方法 結果 考察 参考文献
シクロスポリン内服療法評価表一覧
評価表の見方
評価法の見方
結果
A. 短期投与法
シクロスポリン内服療法に関する検討は1987年、Campら1)により始められた。重症アトピー性皮膚炎患者200人以上に対してシクロスポリン2.5-5mg/kg/日を1-2ヶ月投与し、6-8週間で高い有効性を認めたが、投与中止による再発も多く、寛解状態を得るには長期投与をしなければならない症例も多く、副作用にも注意が必要であった。 アトピー性皮膚炎患者に対するシクロスポリンの短期間内服に関するRCTは6件あり、いずれも対照群と比較して有意に皮膚病変および範囲が改善している。また、Zurbriggenら7)によりサンディミュン®とネオーラル®の2剤の比較がされており、ネオーラル®の方が治療開始後速やかに治療効果が得られることが確認された。

A. 短期投与法

B. 長期投与法
アトピー性皮膚炎の治療上、その治療がどうしても長期とならざるを得ない場合があり、シクロスポリンの長期療法による治療効果と副作用の検討も行われた。Zonneveldら9)によるRCTにおいては、約1年シクロスポリン内服を継続した症例もある。腎障害や高血圧などの副作用に注意が必要だが、比較的低用量で治療開始しても長期間十分にコントロールできることが示された。

B. 長期投与法
C. 間歇投与法
シクロスポリンの長期療法における副作用発現の問題から、間歇投与法の検討が行われている。漸減療法と間歇療法を比較する検討も行われており、Munroら12)によるRCTでは、いずれの投与法においても症状はコントロールされたが、間歇療法の方が漸減療法よりも有効であるという結果になった。すなわち、漸減療法と間歇療法を比較した場合、どちらも同程度の改善か、もしくは間歇療法の方がやや有効であったということであり、これらの報告より、シクロスポリンを長期に内服する場合、間歇療法は有用な投与法であると考えられた。

C. 間歇投与法

D. 本邦報告
本邦におけるアトピー性皮膚炎に対するシクロスポリン内服の症例集積研究は2本あり、今山ら15)は13人の成人難治性アトピー性皮膚炎患者に3-5mg/kg/日のシクロスポリン内服投与を、久保田ら16)は継続内服と間歇内服との比較を行った。海外での報告と同様に重症アトピー性皮膚炎に対するシクロスポリンの有用性が示された。

D. 本邦報告

E. 小児に対する投与
シクロスポリンはヨーロッパにおいては1993年より小児のアトピー性皮膚炎にも適用され良好な結果を得ているが、小児ではシクロスポリンの腸管での吸収が悪いため、成人よりも高用量が必要で、体重よりも体表面積で換算した方がよいとされている。Harperら17)はシクロスポリン継続内服と間歇内服のRCTを行った。その結果間歇内服は、継続内服と同等の改善が得られることが示され、間歇療法が推奨された。

E. 小児に対する投与

トップページへ戻る 上へ戻る
九州大学医学部皮膚科学教室TOPへ