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抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬
溝口昌子、上西香子
*聖マリアンナ医科大学皮膚科
要旨 はじめに 研究目的 方法 結果 考察 参考文献
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬評価表一覧
評価表の見方
評価法の見方
結果
今回の方法により23の文献が抽出された。抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の効果に肯定的なものは17報告3, 4, 6-9, 12-14, 17-23, 25)、否定的なものは5報告5, 10, 11, 15, 24)、安全性についての検討が1報告16)あった。以下に対象となった薬剤別に結果を述べる。
1.塩酸ヒドロキシジン、クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン
いわゆる古典型の抗ヒスタミン薬では、塩酸ヒドロキシジンの報告が2編3, 4)あり、クロルフェニラミンの報告が1編5)、クレマスチンの報告が3編11, 21, 22)あった。塩酸ヒドロキシジンに対する2報告はどちらも統計学的に有意な有効性を示していたが、クロルフェニラミンに対する報告は掻痒に対して無効であった。クレマスチンではプラセボと比べた報告1編11)で有意差がなく、抗アレルギー薬の対照とした報告2編21, 22)で有意に劣っていた。
2.テルフェナジン
現在、本邦で販売中止となったテルフェナジンについては、6報告6-11)あり、有効性を認めた報告が4編6-9)、効果が見られなかった報告が2編10, 11)あり、意見の対立が認められた。
3.塩酸セチリジン
セチリジンに対しては、有効とする報告が3編12-14)と、有意差なしとする報告が1編15)見られた。この薬剤で特筆すべきは、大規模な安全性の報告16)があり、プラセボと比べ、副作用に有意差がないと報告されている。
4.ロラタジン
3編の文献14, 17, 18)が抽出され、いずれも統計学的に有意な有効性を報告していた。特に、Langelandら18)の報告は、ランダム化マルチ・クロスオーバー法を用いており、通常のランダム化比較試験と比べ、少人数で有意な結果が可能だったと考える。
5.塩酸アゼラスチン
塩酸アゼラスチンに対しては有効とする報告が2編19, 21)と有意差なしとする報告が2編15, 20)抽出された。有意差のなかった報告のうち1編はケトチフェン対照であり、ケトチフェンと同様有効であると結論づけられている。
6.ケトチフェン
ケトチフェンに対しては、有効とする1報告22)と、前述の有意差のない1報告20)があり、この範囲では、有効といえるであろう。
7.塩酸フェキソフェナジン
有効とする報告1編23)が抽出された。大規模なプラセボ対照二重盲験ランダム化比較試験であり、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の有効性に関する報告では、唯一のレベル1のものである。
8.アクリバスチン、アステミゾール、オキサトミド
有効とされるレベル2の報告が各々1編6, 8, 25)見られた。なお、アクリバスチンは本邦で発売されていない。
9. LN2974
本邦で発売されていない薬剤ではあるが、無効の報告が1編24)見られた。
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